読んだことないけど一度は読みたいと思っている歌集・3選

いろんな出版社が頑張っていることもあって比較的書店でも書いやすくなりましたが、歌集って元々そんなにたくさん流通していないものなので、読みたいと思ったときには買えないなんてことがよくある。気になってて買うか悩んでるうちに、気付いたら版元にもないとかもよくある。日本の古本屋を駆使するのはもちろん、各オークションサイトを回って定価の3倍で買うとかもある(あった)。東京には国立国会図書館なるものがあると聞いているのですが、こっちの図書館の歌集の蔵書のセレクトって割と謎で、「えっそれあるんだ」みたいなものも多い印象だ。と散々探し回っているけれどそれでもまだ読めていない歌集、そんな歌集を想像も交えながら今日は紹介します。

 

大滝和子『銀河を産んだように』

www.sunagoya.com

サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい

「読んだことないけど一度は読みたいと思っている」歌集アンケートがあれば、間違いなく上位にくるはずと信じてやまない歌集No.1。まれに古書店で入荷の案内があったかと思うと秒で売れる。やっぱり冒頭の引用歌が良すぎるよねえ。どういう形でこの歌が並んでいるのか、一度は見てみてたい。その期待感がひたすらこの歌集に対する憧れを強めていく一方だ。下手すると期待が高まりすぎてもう読まない方が良いかもしれないとも思う。そんなことはないけど。

ざっと調べた感じ1994年刊行らしい(間違いがわかったら修正します)。現代短歌社の第一歌集文庫や書肆侃侃房の現代短歌クラシックスとか、第一歌集を復刻するシリーズがあるので、どうにか復刻しないですかねえと思っているのだが、版権の問題とか作者の意向とかあるんだろうなあ。ちなみに第二歌集・第三歌集もかなり手に入りにくい(amazonなどでもめちゃめちゃ高価)。この2冊について、短歌を始めたばかりのころ大滝さんの歌にハマった私はいろんなルートを駆使して入手した。今や懐かしい思い出。

 

野田光介『半人半馬』

www.kinokuniya.co.jp

自転車に半人半馬号と書く人間半分やめたくなりて

2017年刊行。このときはもう短歌を始めていたから、買おうと思えば買えたんだった。Twitterで短歌の友人たちが流してる歌が鋭く面白くって、しかもそれが70代ごろの作品だというからびっくりする。なんだろう、どれだけフラットにいようと思っても立派に偏見や先入観はあって、年齢を重ねることで詠われるものの方向性ってなんとなくあると思うんだけど、そういうのをフワッと超えてくる。それがスタイルなんだなって思う。ちなみにこの歌集が第二歌集だというのも、この記事を書くにあたって始めて知ってまたもびっくりしている。

「やっぱりちゃんと読みたいな」と思った頃にはまったく売り切れていて、歌集は大体4〜5年も経てば古本にすらなくて絶版or超高額になるから、見つけたときに買っておくべきなのよ。あと短歌研究社のサイトにも情報残ってないのか見つけられなかった。しゅん。

 

澤村斉美『夏鴉』

www.sunagoya.com

雲を雲と呼びて止まりし友よりも自転車一台分先にゐる

澤村さんを知ったのは、山田航『桜前線開架宣言』を読んだことがきっかけだ。わかりやすく文体に個性がにじむ歌人たちも多く取り上げられているなかで、しっかり歌が上手いなあと思った。短歌を始めた頃、私は上手な歌が作りたかった。その中で『夏鴉』の派手ではないけど、短歌を読むよろこびになりやすい「世界(対象)への発見」も交えながら綴られる生活詠はすごく目を引いた。

それから定期的にこの歌集が手に入らないか探していたのだけど、実は今年、ついに手に入れることができたのだった。とある古書店のオンラインショップで見つけたときはほぼ反射的にポチって支払い手続きまで済ませていた。届いたときはやけにうれしかったのを覚えている。今の自分は歌のうまさをそこまで志向しなくなってしまったけど、それでこの歌集をどういう風に読むのか、とても楽しみにしている。

 

以上、「読んだことないけど一度は読みたいと思っている歌集・3選」でした!まだまだ読みたい歌集、読めてない歌集はたくさんあるのでガシガシ読みたいです。